小豆島八十八ヶ所 霊場紹介

第53番 ほんかくじ 本覚寺

寺院

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御詠歌 くまなせる まよいの雲を はらしなば もとのさとりの 月はさやけし
御本尊 五大力明王
御真言 ナウマクサンマンダ バザラダン センダン マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン

 当寺は、ギネスブック認定、世界一狭い土渕海峡の最西端にあって、眼下に土庄港が見える小高い所にある。石段を登った右手に鐘楼がある。「水や花やさきあふれみちたたへ 地は青しはや清風の草の丈 空を歩む朗々と月ひとり 火よあした雪ふりさかりもえさかる井泉水」と鐘銘を記した木札が立っている。そしてこの近くに「ほとけをしんずむぎのほのあおきしんじつ 井泉水」と刻まれた自然石の碑と、「夕となれば風が出る山荘よともし火 桂子」の碑が並んでいる。俳人の荻原井泉水が、その夫人桂子とともに小豆島をおとずれたのは大正九年四月のことであった。島に二十日ほど滞在し、霊場を八日間で巡拝している。桂子夫人の碑の裏面には「我一介の遍路となりて此の島の仏を礼する云々」と記されている。境内はよく整備され、本堂右手前には藤原竹谷の作庭による庭園がある。庭園内の一角には茶室随流亭があって風雅な趣をただよわせている。
 本堂は室町時代の様式をとり入れ、気品があり落ち着いた感じを受ける。縁起では、寺の開基も、御本尊不動明王を彫刻されたのも行基菩薩と伝えられる。明徳年間には増吽僧正が四体の尊像を彫刻して、御本尊とともに五大明王として開創した。その後延享年間に火災にあい堂塔を烏有に帰したがやがて再興されたものの、昭和五年ふたたび火災のため焼失し、現在の建物は先住職横山玄浄師によって建立されたのである。昭和三十年に完成した一髪観音堂が本堂裏手の台地にあり、インドの故ネール首相をはじめ、十万人の頭髪で刺繍した聖観世音がまつられている。生地は麻生地なので約二千年の耐久性があるという。この一髪観世音は交通安全みがわり人形御守としてその利生が実話として語られている。五メートルの崖から車とともに落ちた姫路市里中町、三木満さんがその人で、かすり傷もせず奇蹟的に助かったのである。この情景を描いた額が奉納されている。
(朱鷺書房発刊の『小豆島八十八ヶ所』より抜粋)


名称 第53番 本覚寺(ほんかくじ )
住所 〒761-4121 香川県小豆郡土庄町渕崎甲462 GoogleMapで見る
電話番号 0879-62-0333
納経所 第53番本覚寺、第57番浄源坊、第65番光明庵

第53番 本覚寺の牡丹

花は淡紅紫色で、花弁数は約15枚。花期は4月中旬〜下旬。