霜月 大師市
12月21日に小豆島霊場第58番札所西光寺の門前の銀杏通りで大師市が開催されました。21日は弘法大師の月命日に当たり、大師市は弘法大師への報恩感謝の行事として毎年4月21日と12月21日に開催されます。大正3年の春から現在に至り100年以上も続く行事で、今では小豆島の春と冬の風物詩になっております。
今年の冬の大師市は、最強寒波の襲来とともに、早朝より強風が吹き荒れ、人出の少なさを心配しておりました。しかし、当日では、寒さにも風にも負けず、たくさんの方が家族連れ立って、西光寺の山門で鐘を撞き、参拝に訪れました。大師市当日、西光寺の本堂では、合計三座の護摩が修され、皆様の家内安全、身体健康、平穏無事を祈願しております。護摩を修し、読経の声が響く本堂では、くじ引きで当たりくじを引き、歓喜する声もまた次々と聞こえてきます。そして、その間にも多くの善男善女がロウソクを献灯し、家族の安全、健康を真剣な眼差しで祈願する姿が見られます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前では、西光寺境内では、お接待が行われていました。地元の有志の主婦たちにより、冬はおぜんざい、春はところ天が振舞われ、参拝の帰りにおぜんざいやところ天を食べながら家族、友人と談笑していた光景がよく見られました。現在では、感染防止のためお接待は中止となっておりますが、復活を心待ちしております。
一方で、今年の春より西光寺山門からの餅投げが復活されました。集まった皆様は、縁起物のお餅を一個でも多くキャッチすべく、手のひら、カバンを大きく広げて空に舞うお餅にめがけて突進し、山門前は大盛り上がりでした。そして、春も冬も小豆島のゆるキャラのオリーブしまちゃんが応援に駆けつけ、子供はもちろん大人も一緒に写真を撮ったりして、門前はとても楽しい雰囲気でした。
そして、門前通りでは、地元の農産品や料理の屋台が並び、これもまた大師市のお楽しみ。冬もタコ飯、骨付き鶏、ベビーカステラ、台湾料理、焼きそばなどの出店があり、きっと多くの参拝客が舌鼓を打ちながら帰路についたことでしょう。
次の大師市の開催は令和6年4月21日です。小豆島の心地よい春の風と太陽の光を浴びながら、小豆島の伝統行事、春の大師市を訪れてみませんか。
第58番西光寺僧侶 南野明章