『巡拝者の声』 

 丸山大師講は今年で百十三周年となるが、講の名称の由来である丸山公園内には明治の終わりから大正の初めにかけて造られた四国八十八ヶ所霊場と西国三十三ヶ所霊場のお砂踏み場、さらには小豆島八十八ヶ所霊場のも造られている。四国霊場、西国霊場、小豆島霊場の三つのミニ霊場が一ヶ所にまとまっているのは全国でも類を見ない。この丸山霊場を多くの人に参拝してもらうためにはどのようなアピールが必要なのか。日々、講員の仲間たちと考えをめぐらしている。
 一方、四国霊場は外国人による歩き遍路が年々と増加傾向にある。最近では海外メディアもお遍路に注目している。インターネットの普及が大きいようで、お遍路の体験談がブログやホームページに公開されることで外国人のお遍路に対する興味が急速に高まっている。それでは小豆島霊場はどうなのか。外国人遍路もほとんどなく、むしろ減少傾向にある。しかしながら、小豆島霊場には四国霊場にあまり見られない洞窟霊場や鎖場があり、暗闇の中で厳修する護摩祈祷や、急斜面の岩肌を鉄の鎖を持ってよじ登る岩登りは非日常的な体験となる。また、オリーブや素麺、佃煮、醤油、そしてごま油など小豆島で作られている食文化を見学・体験もできる。この存分なポテンシャルを世界に向けて情報発信していけば小豆島遍路の活性化は決して難しいことではない。
 早いもので小豆島に参拝して、今年で五十五年以上の歳月が経過した。最近は「世界平和」を願いつつ参拝しているが、小豆島霊場は日本だけでなく、世界にアピールできる大きな魅力と吸引力を持っているものと固く信じている。 丸山大師講会長 安藤哲信様    (霊場新聞「遍照」第170号より抜粋)