林道の終点に「洞雲山」と記された石柱がある。ここから山岳霊場五千坪の境内に入る。老杉の岩壁に大師堂の並ぶ建物の調和が誠に自然で、御供所の前に「大師お杖の水」と称す泉がある。滝壼の池に水鏡の仏様を拝し、十三尊を仰ぐ石畳から礼拝堂を経て石の登廊から洞窟に入る。
毘沙門天王(多聞天)は、仏教を守護する四天王の一尊にあり、七福神に数えられている。さらに密教では、福徳財宝をもたらす本尊として信仰されている。ここ洞雲山では、財布に入れておくとお金に恵まれる縁起の良い「福守」を授けている。
本尊八角堂の前で僧が護摩修法して居り、岩肩の聖火と共に左右、一対の烈火は密教の持つ神秘的な雰囲気である。その名のような雲上の洞窟において、清朗な読経は人の声も我が声も天声となって心に浴し、怒りも悲しみもきれいに沐われて清浄な心になり、言いつくせぬ安らぎと喜びを感得する。法炎は、身に付いた不純なもの、凡てを焼却し去る。毎年六月一日より七月二十日まで晴天日の午後三時、太陽の光で岩壁に夏至観音の像が光現する。
(朱鷺書房発刊の『小豆島八十八ヶ所』より抜粋)
名称 | 第1番 洞雲山(どううんざん ) |
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住所 | 〒761-4425 香川県小豆郡小豆島町坂手灘上甲730 |
電話番号 | 0879-82-0685 |
納経所 | 第3番観音寺にて受付 |
第1番 洞雲山の鴛鴦桜(おしどりざくら)
花は淡い紅紫色。花期は4月中旬ごろ。(第三番観音寺に植樹)