寺は、宗祖弘法大師卅二世法資祐算上人により、萬治三庚子年二月に開山された。現在の建物は、元禄年間に増遍上人が再建したと言う。
御本尊は大師信仰の中心をなす金剛界大日如来像で、五智の金銅製宝冠をかぶり胸飾をつけ、胸前で智拳印を結び結跏趺坐する。檜の一木彫成像で、像高は三二・八センチの小作りながら、平安時代前半の乾漆像の名残りがうかがわれる。制作には古風な特色が見られ、十世紀末おそらく平安後期の造立と思われる。また、本像は香川県下の大日如来中の古例の一として注目されるものである。
脇仏に一木彫成の二天像「持国天」「多聞天」があり、これら二天像は本尊像に似て古風を示すが、粗豪な作風の地方作であって制作は本尊像に近いものと考えられる。
本尊の大日如来坐像、脇仏の二天像立像ともに、昭和四十一年、香川県指定文化財となっている。
建物はやや小さいが三百年の歴史の重みが感じられ、無言のうちに寺のあゆみを語っているようである。
(朱鷺書房発刊の『小豆島八十八ヶ所』より抜粋)
名称 | 第30番 正法寺(しょうぼうじ) |
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住所 | 〒761-4306 香川県小豆郡小豆島町吉野280-2 |
電話番号 | 0879-76-0003 |
納経所 | 第30番正法寺 |
第30番 正法寺の紅豊
花は紅紫色。花期は4月上旬ごろ。