バスの通る県道が開通するまではきびしい難所があった。盲目の遍路があまりのけわしさに一生懸命よじ登った足跡があるという峠である。今は草深く社だけが残っている。島の東海岸は明るい。花岡岩の山肌と白い砂浜は松の緑に輝いている。樹木の生い茂った境内に御堂がある。軒先に舟の形をした自然石の手洗水が潮風に揺れていた。読経していると、孤独になって声までが小さい。自分が浜のまさごにも似て思わず、千手観音様にすがりたくなる。祈願して不思議なご利益を戴く人も多い。
(朱鷺書房発刊の『小豆島八十八ヶ所』より抜粋)
名称 | 第86番 当浜庵(あてはまあん ) |
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住所 | 〒761-4403 香川県小豆郡小豆島町当浜甲270 |
納経所 | 第3番観音寺にて受付 |
第86番 当浜庵の鞍馬桜
一重や八重で、白色や紅色。花期は4月下旬ごろ。