弥生式土器の出土する風土記の丘に、ごろごろと大岩が転がっている。そのひとつ「黒岩」を祭祀するところから「黒岩」の地名が付けられた。遠くから眺めると、山の斜面が崩れて今の地形になっていることがわかる。それからか、この地の井戸水は白濁していることが多い。水道がない時代には、飲み水に大変苦労したことが偲ばれる。
当山は行基菩薩(六六八~七四九)の開基と伝えられ、弘法大師の立教開宗の本誓に鑑みて、遠く壱千有余年の昔、延長二年(九二四)、安宗法印が中興されたという。
もとは現在地の東北に位置する慈恩寺谷にあったので、慈恩寺と称し、幾星霜を閲して漸く治承年間(一一七七~一一八〇)、黒岩、中上の当地に移り、寿福院と改め、江戸期元禄年間(一六八八~一七〇三)に千光山寿福院圓満寺の寺号を京都大覚寺より允許された。
時は移り大戦後、高野山真言宗に移り、平成四年、悲願であった本堂再建を達成し、さらには境内一円を整備して形容正に整うものとなった。
本堂には恵心僧都(九四二~一〇一七)作と伝えられる本尊十一面観世音菩薩が鎮座されるが、秘仏であるため宮殿に祀られ、その御前立ちが新たに大仏師松久宗林師の数少ない弟子のおひとりである渡邊勢山師により制作、平成四年秋に奉納安置された。
他に町指定文化財、藤原時代の伝安阿弥作阿弥陀三尊像や大日如来、地蔵尊、多聞天、弘法大師像などが祀られている。
参道入口には、島内二番目の樹齢約四百年を誇る町指定の天然記念物であるシンパクが聳え、檀家さんやお遍路さんを出迎えている。
(朱鷺書房発刊の『小豆島八十八ヶ所』より抜粋)
名称 | 第74番 圓満寺(えんまんじ ) |
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住所 | 〒761-4152 香川県小豆郡土庄町黒岩462 |
電話番号 | 0879-62-6367 |
納経所 | 第74番圓満寺 |
第74番 圓満寺の小彼岸
花は淡紅色の小型で、花期は3月下旬。