「あなたは今、幸せですか」と尋ねられて、「はい」と即答できる人は、はたして何人おられるでしょうか。日常から離れ静かに自分を見つめる所を求めるならば、当山はその道場になり得る格好の場所だと申したい。
　当山は弘法大師の修行道場として何世紀もの星霜を閲し、多数の求道者に大慈を与えてきた同行二人の大師誓願を仰ぐ実践道場の山岳霊場である。
　当山は正式には、佛谷山(ぶっこくさん)三学院と号し、通称「島薬師」と称す。保安寺の奥之院として海抜四百メートルの山頂近くにあり、深山幽谷の谷間の道場で眼下に瀬戸内海が開け、遥かに四国本土の名勝、屋島、五剣山の風光が望める景勝地である。
　本堂は洞窟内にあり、その昔、弘法大師が御修行中、洞窟で柴を焚き、その上へ海の藻を敷き、病者をそこへ坐臥させて汗だくになるまで温め、病の治癒に努めたとされる。
　洞窟の石は当山独特の白い柔らかい石で、「薬師石」として病気平癒、身体堅固等の御蔭多しと受けて帰るもの多数あり。
　洞窟内の岩よりしみ出ずる清浄水「薬師水」は、病の薬なりと、何時とはなしに巡拝者によって言い伝えられている。
（朱鷺書房発刊の『小豆島八十八ヶ所』より抜粋）

佛谷山

佛谷山から

名称	第41番 佛谷山（ぶっこくさん）
住所	〒761-4300　香川県小豆郡小豆島町蒲生乙263-2
電話番号	0879-75-1084
納経所	40番保安寺にて受付

第41番 佛谷山の八重曙